
先日行った阪急オアシス御影店のワイン売り場に、頭をかしげたくなる表示がありました。それは、国産ワインコーナーにて。
そのワイン売り場のプレイスカード(値段や商品説明が書かれてあるカード)には、産地の国旗マークが記されてあります。そして、国産ワインコーナーには、日本の国旗が入ったプライスカードが並びます。
パッと見ると、日の丸印のプライスカードが多いので、国産ワインの品揃えも多いかと思いきや、じっくりみるとそうではありませんでした。その理由は、
輸入ぶどう果汁使用のワインにも、日の丸印の入ったプライスカードが付けられていた
からです。
国産ワイン=日本で醸造したワイン、と考えれば、特に問題はありません。輸入ぶどう果汁を日本で醸造しているからです。例えば、アサヒビールが販売する「酸化防止剤無添加有機ワイン」(阪急オアシスで販売されていたかどうかは不明)は、次のようにされています。
「酸化防止剤無添加有機ワイン」の原料は、南米・北米から輸入した濃縮果汁を使用して、日本のサントネージュワインで醸造しております。現在は、アルゼンチン、アメリカ、チリの輸入ぶどう果汁を原料としております。(アサヒお客様相談室のページより。)
ただ、一般的にワインの産地と言えば、
ワインの産地=ぶどうの栽培地(ウィキペディア参照)
です。ウィキペディアによると、これに反するのは先進国のうち日本だけみたいです。ちなみに、国産ワインというのは、
国産ワイン→国内で製造したワイン、国内で製造したワインに輸入ワインをブレンドしたワイン(WANDS『19年ぶりに改正された「国産ワインの表示基準」』より)
だそうです。つまり、日本で栽培したぶどうを一部でも使えば、国産ワインと表示できることになります。(ただし、輸入果汁を使ったワインはその旨を表示する必要があります。)
ちなみに、先程紹介したアサヒの「酸化防止剤無添加有機ワイン」は、国産ぶどうを使っていないので国産ワインと言うことはできません。
阪急オアシスでどのような輸入ぶどう果汁使用ワインが販売されていたかは覚えていませんが、大手ビールメーカーまたはその子会社の商品だったかと思います。そこで、各社の輸入ぶどう果汁使用ワインについて、国産ぶどうを使っているかどうか調べてみました。
- アサヒビールの「酸化防止剤無添加有機ワイン」→輸入ぶどう果汁使用、国産ぶどうは不使用
- メルシャン(キリンビール子会社)の「おいしい酸化防腐剤無添加赤ワイン」→輸入ぶどう果汁使用、国産ぶどう使用の表示なし
- サントリーの「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」→輸入ぶどう果汁使用、国産ぶどう使用の表示なし
- サッポロビールの「ポリフェノールたっぷり酸化防止剤無添加赤ワイン」→a href=”http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/0f7fedb8.957bbf16.0f7fedb9.8ec39b8d/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbigbossshibazaki%2f807763%2f%3fscid%3daf_ich_link_txt&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbigbossshibazaki%2fn%2f807763″ target=”_blank”>輸入ぶどう果汁使用、国産ぶどう使用の表示なし
つまり、
酒造メーカー大手4社が作る酸化防腐剤無添加ワイン≠国産ワイン
になります。だから、国産ワインとして日の丸印を付けて販売するのは、間違いだと思います。(上記4商品はあくまで代表商品として調べただけで、阪急オアシスで販売されていたわけではありません。)
私がここまで、
輸入ぶどう果汁使用ワインと国産ワインかのように表示して販売することにこだわる
のは、
普段ワインを飲まないワイン初心者が、
価格の低さや酸化防止剤無添加表示に惹かれて、輸入ぶどう果汁使用ワインを購入する
→美味しく感じない
→「国産ワイン=美味しくない」と誤解する
→今後ワインを購入する時は、国産ワインを避けて外国産ワインを購入する
にならないかと、心配するからです。これでは、高品質な本物(?)の純国産ワイン(国産ぶどう100%使用のワイン)が、売れなくなってしまいます。まじめに栽培・醸造している作り手が、かわいそうに思えます。
ちなみに、私がイチオシする日本のワイナリーは、カタシモワイナリーさんと丹波ワインさんです。特に、カタシモワイナリーさんは、見学に行ってオーナー直々の話を聞きながら試飲したので、飲むたびにオーナーさんのワインへの思いを感じてしまいます。
誤解のないように言うと、決して輸入ぶどう果汁使用のワインを否定しているわけではありません。価格が低いのだから、普段飲みのデイリーワインとして飲むのはアリだと思います。また、大手メーカーが開発しているだけあって、品質も向上していることと思います。(スイマセン、まだ飲んだことがありません。)ただ、問題なのは表示。売り場であたかも国産ワインかのようには販売されるのは、問題でしょう。大手4社のサイトを見ても、「輸入ぶどう果汁使用」の文字はどこにもありません。(メルシャンの「おいしい酸化防止剤無添加赤ワイン」には、「無添加カテゴリー国内ワイン売上シェアNo1ブランド」という文字まで踊っています。厳密には「国内ワイン」は「国産ワイン」ではないので、表示上問題ないのかもしれないですが・・・)
何はともあれ、消費者には正しい情報、誤解を与えない情報を提供してほしいものです。そうでないと、ワインは消費者からソッポを向かれるようになるかもしれません。
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