(©2008-2009 by Will Murray (“Willscrlt“) willmurray.name/ )
ワインスペクテイターに、ワインの価格に関する記事を見つけました。そのタイトルは、
Why I No Longer Buy Expensive Wine
日本語に訳すと、「なぜ私は価格の高いワインを買わないのか?」となります。
記事の筆者は、マットクレイマー(Matt Kramer)というワイン評論家。自宅のワインセラーにたんまり貯めた高いワインを、一気に売ったようです。ただし、売った理由はお金に困ったわけではありません。
マットが高価格ワインを売りさばいた理由は、
高いワインには驚きがないから
です。価格の高いワインは、歴史のあるワイナリーのワインであることが多く、ワイン業界でも有名です。だから、そのワインの味が、ある程度想像できるという。特に、ヴィンテージ違いの同銘柄ワインとなると、ぶどうの出来に違いはあるものの、その栽培方法・醸造方法は同じになるので、味に大きな変化はありません。(もちろん、ワイン好きはこの小さな違いを楽しむのですが。)
一方、価格がそこそこのワインは、それほど有名でもないので、飲む前に想像がつきにくくい。だから、飲んだ時に、サプライズが起こるのです。
マットが、このような考えに至ったのは、オーストラリアでとあるワインに出会ったから。そのワインは、42ドルと決して安いワインではないのですが、その素晴らしい品質を考えると高い価格とも言えません。
ただしマットは、価格ではなくまずは品質の高さがサプライズには必要だと述べています。飲んでうまいと感じたら、それほど高くなかった。これが、驚きになるというのです。
昔は、良質のワイン=価格が高いという公式が成り立っていたので、ワインに驚きは少なかったようです。しかし今では、世界のワインが手に入るようになったので、掘り出し物を見つける面白さがあります。この面白さこそが、サプライズなのです。
私としては、マットの考え方には賛成でもあり反対でもあります。ワインが美味しいかどうかは、価格が決めるのではなく、好みと環境(雰囲気や料理など)が決めるもの。だから、高い有名なワインを飲むよりは、聞いたことないワインを飲んだ方が、サプライズは味わえます。(高い有名なワインを飲んで、意外に大したことがなかったというサプライズもありますが。)
ただ、価格の高さは、栽培方法・醸造方法に手間がかかっていることを示し、また伝統が育んだブランドによるもの。有名なワインを飲むことは、単にワインを飲んで酔っ払うのではなく、誰がどこでどのように作ったワインなのかを理解する機会でもあります。生産者のことを知ってワインを飲むと、その歴史も楽しめると思います。また、ヴィンテージの違いを飲み比べるのも、通の楽しみかもしれません。(私はまだしたことがありませんが。)
まぁ、給料がなかなか上がらないこのご時世、低価格ワインになびいてしまう気持ちもわかります。(私自身、その傾向が最近強い。)ただ、たまには有名なワインも飲んで、自分のワイン記録をより深いものにしたいですね。
ちなみに、マットが飲んでサプライズを感じたワインは、以下の通り。
カレン・マンガン ヴィンヤード2009(Cullen Mangan Vinyard):オーストラリアの赤、マルベック・プチヴェルド・メルローのブレンド
ドメーヌ・ブルーノ・デュフォー・ブルグイユ キュヴェ グランモン2008(Domaine Bruno Dufeu Bourgueil Cuvee Grand Mont2008):フランス・ロワール地方・ブルグイユ村の赤、カベルネ・フラン
トレ・オリア ブリュット(Torre Oria Brut):スペインのカヴァ(スパークリング)、マカベオ100%
ブルグイユ村のワインは飲んだことがないので、飲んでみたくなりました。
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