ロイター(Reuters)に興味深い記事がありました。記事のタイトルは、
Why is wine getting hotter?
訳すと、
ワインのアルコール度数が表示よりも高くなるのはなぜ?
でしょうか。
特に、ニューワールド(アメリカ合衆国、オーストラリアなどの新しい産地)で、実際のアルコール度数が表示よりも高くなる傾向があるようです。
どの程度の差があるのかというと、
- 赤ワイン:実際のアルコール度数14.1%→表示は13.6%
- 白ワイン:実際のアルコール度数13.5%→表示は13.1%
ほど。
考えられる要因として、
地球温暖化
があります。しかし、温暖化がアルコール度数が高くなった要因ならば、大部分のワインで「実際のアルコール度数>表示のアルコール度数」となるはず。実際には、赤なら13.6%や13.7%、白なら13.1%や13.2%が実際のアルコール度数なら、そのまま表示されています。なので、地球温暖化が犯人ではなさそう。
一番可能性が高いのは、
一定のアルコール度数の方が好まれる
から。ワインは教養の高い(sophisticated)人の好むお酒として考えられることが多く、酔うための飲み物という認識は低い。ならば、アルコール度数はそれほど高くない方がいい。(「アルコール度数が高い→酔いたいために飲んでいる」と思われるため。)
しかし、酔っていい気分になるのも、ワインを飲む楽しみの一つ。実際には、ある程度アルコール度数が高い方がいいんでねぇ。世間体は低アルコールにしつつ、実際にはそこそこアルコール度数が高い。ワインを飲む人は、この状態(実際のアルコール度数>表示のアルコール度数)がいいわけです。なので、世界で売上を伸ばそうとするワイン醸造家、特にニューワールドのワイン企業は、実際のアルコール度数よりも低く表示するわけです。もちろん、表示の規制や税制で許される範囲ですが。一般的に、フランスやイタリアなどの伝統的なワイン生産国(記事では「オールドワールド」と呼ばれています)のワインは、ニューワールドよりもアルコール度数が低いとされているので、ニューワールドがオールドワールドの牙城を崩すために、アルコール度数を低く表示しているとも読めます。
かといって、低すぎるとその品質に?マークが付くので、
赤なら13.5%、白なら13%
にしているようです。
実際のアルコール度数は、年々上がっているようです。(記事では、ボルドーの白とチリの赤が上昇例として挙げられています。)これは、
実際のアルコール度数が高い方が好まれる=売れる
からでしょうか。昔と今の消費者の嗜好性が、変わっていると読むことができます。(表示の度数ではありません。)
正直言いまして、これまでワインを選ぶ時に、アルコール度数はあまり見ませんでした。ちなみに、アルコールが与えるワインへの影響として、
ボリューム感、口中で感じる厚みやとろみに寄与して、ワインにコクを与える
ようです。(「ワイン完全ガイド」より)
これからは、アルコール度数も見てみようと思います。(実際の度数とは違いますが)